枝垂れ花火


沙希の浴衣姿は艶やかだったな・・・
隅田川の花火を見ながら九鬼はそんな思いに浸っていた。
夜空に広がる枝垂れ(しだれ)花火。
いつしか枝垂れ花火は藤の房となり、
沙希の踊る藤娘が幻のように浮かんだ。
「沙希は活き活きしているだろうか」
沙希の身を案じる九鬼だった。