俳句

三の糸

眉月の 切れぬ女の 三の糸 季語は眉月(まゆづき)で秋。 眉月は三日月の別名。 細く美しい眉の如き月。 三の糸は、三味線の三本の糸の中で最も高音の糸。

破られし写真

破られし 写真を合わす 聖夜かな 季語は聖夜でクリスマスイブのこと。 聖夜は冬の季語

雪の頭巾

南部坂 雪の別れの 頭巾かな 忠臣蔵より大石内蔵助と瑞泉院との今生の別れ。季語は雪で冬

今わの際の膝枕

今朝の日の出は綺麗だった。 「朝が来た」 そんな朝だった。 今わの際の夫は妻の膝枕で語る。 夫は目を瞑り、長年連れ添った夫婦の別れが迫る。 愛する妻のとよ(風吹ジュン)に抱かれて正吉(近藤正臣)は旅立つ。 連続テレビ小説「あさが来た」の一場面。 …

 新米

新米の 艶やかなりし 朝餉かな (しんまいの つややかなりし あさげかな)季語は新米で秋

襟ぼくろ

今宵の月は明るい。 皓皓と照る月を眺めて一句。 月光に 濡るる尼の 襟ぼくろ

赤き月

かんざしを 畳に刺して 赤き月季語は月で季節は秋 雪女 白き焔と なりにけり季語は雪女で季節は冬

湯の香

いく度か 湯の香に目覚め 露の宿 「いくたびか ゆのかにめざめ つゆのやど」 草津を旅した。 枕が変わったからだろうか、 いく度も夜中に目覚める。 窓は閉めていたが、寝室にかすかに湯の香りが・・・ 湯の町の風情を感じた夜だった。 季語は露の宿。 季節…

相照らす

悲しみの 極みに蛍 相照らす

風の盆

輪踊りの 闇に消えゆく 風の盆 うつし夜の 蛍となりし ふたりかな 酔芙蓉 己が乳房に 誘ひし

原爆忌

蝉時雨 全身に浴び 原爆忌70年前の8月6日の今日、広島に原爆が投下された。 日本は世界で唯一の被爆国。 鎮魂の日。

蟬しぐれ

初恋を 貫き通す 蟬しぐれ 荷車の 動き出したる 蟬しぐれ 蟬しぐれ 淡き恋ゆゑ 激しけれ 尼寺の 尼になる日の 蟬しぐれ 季語は蟬しぐれで夏。 市川染五郎・木村佳乃共演、 藤沢周平原作の「蟬しぐれ」からの作句。 文四郎とふくは幼馴染。 文四郎には武士と…

父の匂い

機関車の 匂いは父の 匂いかな 小林桂樹・吉沢京子共演の「父ちゃんのポーが聞こえる」を観て作句。 蒸気機関士の父(小林桂樹)と難病の娘(吉沢京子)との物語。 娘が入院している病院の近くを機関車で通るとき、 「ポー」と機関士の父親は汽笛を鳴らし、娘…

水鏡

恋猫の 揺るる眼差し 水鏡季語は恋猫で春

晩夏光(ばんかこう)

中森明菜の「イマージュの陰り」を聴いていたら晩夏光、 そんなことばが浮かんだ。 恋人と 呼ばれず少女 晩夏光 季語は晩夏で夏

ゆくりなく

ゆくりなく 歩み始めし 大揚羽ゆくりなくは突然、不意にの意味

柴犬の昼寝

柴犬の 小鼻の動く 昼寝かな マシュマロの 肉球開き 昼寝かな ☆ 季語は昼寝で夏

オスカルの指切り

オスカルの 指切りしたる 薔薇かな 薔薇は「そうび」 バラのさだめに殉じたオスカル・フランソワ。

冷麦

今日は久しぶりの晴天夏日和。 朝食は薬味たっぷりの冷麦。 ついつい汁を多めに浸けてしまった。冷麦のお汁が足りぬ炎暑かな

俳句は遊び

「俳句は人生をかかえた大きな遊び」 俳人の森澄雄先生の含蓄ある言葉。

星祭☆

今日は7月7日の七夕。 七夕は別名星祭。 七夕の 遣らずの雨と なりにけり 織姫の 裸足で渡る 天の川 笹の葉の かすかに揺るる 星祭

半夏雨(はんげあめ)

ジーンズの 女医の脈取る 半夏雨

長き睫毛

蜜吸ひし 長き睫毛の 黒揚羽

衣更(ころもがえ)

肩書を 脱いで今日より 衣更 by short★PLOT 肩書がひとつ外れた。 今日よりネクタイを締めずに出社。 服装も気持ちも衣更。

木下闇(こしたやみ)

武蔵野の 水脈現るる 木下闇(むさしのの すいみゃくあるる こしたやみ) 月の暈 震えて閉じる 睫毛かな (つきのかさ ふるえてとじる まつげかな) 木下闇(こしたやみ)は夏の季語 木が茂ってその木陰が暗いこと 月の暈は秋の季語 月に暈が掛かり光の輪ができ…

目借時(めかりどき)

新緑の 愛宕神社の 烈士の碑 大いなる 鯉の欠伸の 目借時 新緑の愛宕神社(あたごじんじゃ)を散策。 愛宕神社は港区の高層ビルに囲まれた小高い丘の上にある。 新緑の神社は5月の風が爽やかだった。 愛宕神社には桜田門外の変の烈士の碑がある。 境内には池…

櫓のお七

雪の夜の 太鼓を叩く お七かな 肌脱ぎの 雪より白き お七かな 「伊達娘恋緋鹿の子」の「櫓のお七」から 「よしなき人に」と手紙を持ち、 「とがむる人も」と肌脱ぎを見せて、 髪をさばけながら櫓登るは八百屋お七。

篝火(かがりび)

篝火の 揺るるにまかせ 花の影(かがりびの ゆるるにまかせ はなのかげ) 篝火の 火の粉となりし 桜かな(かがりびの ひのことなりし さくらかな) By short★PLOT 篝火の炎が揺れ、 桜の花影が揺れる。 篝火に身をゆだねる花の影。 篝火に桜が散る…

花盗人(はなぬすびと)

誰がための 花盗人と なりしかな (たがための はなぬすびとと なりしかな) By short★PLOT 花(桜)を盗む者がいる。 誰のために桜の枝を盗む罪を犯すのか。 誰かに捧げるための花なのか。 それとも桜の魔性に魅せられた者の仕業か。 桜を手折った盗…

花吹雪

花吹雪 窓開け放ち 迎えけり short★PLOT作 窓の外は花吹雪 さあ、窓を開け放ち 桜の花びらたちを迎えよう 花吹雪 季語(春)満開の桜が吹雪のように散る様子