俳句

三味を爪弾く

十六夜の 三味を爪弾く 人形町 季語は十六夜(いざよい)で秋

白き曼珠沙華

召されたる 真実白き 曼珠沙華 季語は曼珠沙華(まんじゅしゃげ)で秋

十六夜月

十六夜の 月のはだえを 抱きけり いさよふと いにしえびとの 詠みたまふ 季語は十六夜(いざよい)で季節は秋 十六夜は、十五夜の翌日に出る月。 十六夜月は十五夜よりやや遅れて出る。 「いざよう」は迷う、躊躇するの意味。 上代では清音で「いさよう」と…

お七絶唱

朧夜の 罪恋しがる 紅をひく 七夕の 遣らずの雨と なりにけり 蟬しぐれ 礫となりて 降りしきる 曼珠沙華 恋は火を呼ぶ お七呼ぶ こめかみに 雪降りしきる お七かな 己が身を 焦がすにまかせ 夕紅葉 風花の 鈴ヶの森に 手を合わす

雲の峰

雲の峰 忘却のごと 消ゆるなり 季語は雲の峰で夏 雲の峰(くものみね)は、山の峰のようにそそりたつ雲。 入道雲、積乱雲。 雄大な雲の峰。 しかし、その雲の峰もいつしか忘却のごとく消えてゆく。 雲の峰の運命の儚さを俳句にした。

伊勢参拝から長良川

伊勢神宮の参拝をし、岐阜の長良川を散策した。 伊勢神宮の参拝で一句。 蟬しぐれ ネクタイ結び 伊勢参り 季語は蟬しぐれで夏 早朝の宿からの長良川を見ながら一句、 新涼の 瀬音ゆかしき 長良川 季語は新涼(しんりょう)で初秋 旅の思い出を俳句にしてみまし…

晩夏かな

海原に 朱を流したる 晩夏光 季語は夏で晩夏光(ばんかこう)

花の乱(自句自解)

日野富子は天下の争乱、 応仁の乱を引き起こした悪女とされている。 その日野富子を主役にしたのが、大河ドラマ「花の乱」であった。 青々と 椿の燃ゆる 闇夜かな 日野富子は室町幕府八代将軍足利義政の御台所(正室) ドラマでは少女時代を当時17歳の松たか…

遣らずの雨

夕立の 遣らずの雨と なりにけり (ゆうだちの やらずのあめと なりにけり) 季語は夕立(ゆうだち)で夏 あれは8月、浅草雷5656会館の邦楽の会でのこと。 父の清元の「玉屋」の演目が終わり、 ロビーに出てみると、窓の外は驟雨で白く煙っていた。 「遣ら…

狐火

狐火の 狐となりて 嫁ぎけり

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夏の夜の 栞を挟む 白き指 季語は夏の夜で夏

花の乱

大河ドラマ「花の乱」は幽玄の世界。 室町幕府八代将軍足利義政の青年期を市川新之助(現市川海老蔵)が演じ、 御台所役の日野富子の少女期を松たか子が演じている。 何れも梨園の子弟子女。 烏帽子姿の公達、新之助と長い黒髪と涼やかな瞳の松たか子は、 お内…

蟬しぐれ

蟬しぐれ 礫となりて われを打つ (せみしぐれ つぶてとなりて われをうつ) 季語は蟬しぐれで夏 藤沢周平の「蟬しぐれ」を読んでいる。 この「蟬しぐれ」市川染五郎主演で映画化もされている。蟬しぐれの一場面で、 切腹した父親の遺体を荷台に乗せて運ぶ、 …

女郎花(おみなえし)

女郎花 女郎は菩薩と なりにけり 季語は女郎花(おみなえし)で秋 女郎花は別名「思い草」 花言葉は「約束を守る」

追い山笠

夏来る 追い山笠の 博多かな 山笠と 出会いし父の 祝い唄 7月15日は「博多祇園山笠」の追い山。 「博多祇園山笠」の話題をブログで読み、 父の思い出が甦った。 父は「博多祇園山笠」に大変感銘していた。 東京の7月15日はお盆。

花一色(はなひといろ)

りんどうを 握りしめたる 嫁御寮 (りんどうを にぎりしめたる よめごりょう) 松田聖子の「花一色」を聴いて浮かんだ俳句。 「花一色」は松田聖子主演の映画「野菊の墓」の主題歌。 人力車に乗って嫁ぐ民江に政夫はりんどうの花を手渡しする。 民江はりんどう…

鮎の香り

夜の更けて 鮎の香りの 艶やかに 季語は鮎(あゆ)で夏 鮎は清楚にして優美な川魚。 その姿も美しい。 鮎には、一種の香気がある。 夜も更けて、静寂の中、 鮎の香りが、一層増してくる。

藍深し

あじさいの 縁切寺の 藍深し 紫陽花の 目礼交わす 切り道し 季語は紫陽花(あじさい)で夏

白木蓮

揺らめいて 白木蓮の かほりかな 白木蓮 身を横たえし 湯殿かな 季語は白木蓮(はくもくれん)で春

ヴェルレーヌ

五月雨の 諳んじたる ヴェルレーヌ(さみだれの そらんじたる ヴェルレーヌ)季語は五月雨で夏ヴェルレーヌはフランスの象徴派の詩人。

陽炎

陽炎の 睦み合ふのも 一期かな かげろふの 揺るるにまかせ 心字池 ※ 心字池(しんじいけ) 草書体で「心」の字をかたどった日本庭園の池。 東大本郷キャンパス内の育徳園心字池など。

菜の花日和

房総の 菜の花日和と なりにけり (ぼうそうの なのはなびよりと なりにけり) 房総(ぼうそう)の菜の花畑には、 うららかな春の日差しが降りそそぐ。 菜の花は房総半島のある千葉県の県花となっている。

ハンカチ

ハンカチを 交換したる 別れかな 季語はハンカチで夏ハンカチの季語は夏ですが、 出会いと別れの揺れる春、友達同士のハンカチの交換を俳句にしました。

オスカルの薔薇

オスカルの 真紅の薔薇は 鉄火肌

蕗の薹

人の世の 苦きもよけれ 蕗の薹 季語は蕗の薹(ふきのとう)で早春 昨年は苦いことが多々あり、 葛藤の日々もあった。 今年になり、 苦いこともまた人生か、 少しずつ現実を受け止めるようになった。

関の彌太っぺ彼岸花

暮六や 関の彌太っぺ 彼岸花 季語は彼岸花で秋。 長谷川伸原作、映画「関の彌太っぺ」のラストシーンを俳句にしました。 お小夜(さよ)を置いて旅人彌太郎(やたろう)は飯岡一家との決闘に向かう。 こちらはひとり、敵は多勢。 多勢に無勢の命のやり取り。…

凍鶴

凍鶴の 濡るるにまかせ 髪を梳く 季語は凍鶴(いてつる)で冬

お七の曼珠沙華

曼珠沙華 恋は火を呼ぶ お七呼ぶ 季語は曼珠沙華で秋井原西鶴原作 好色五人女「お七」より

お七の雪

雪の夜の 火あぶり覚悟の 半鐘打つ 淡雪や 濡るるお七の 襟ぼくろ 風花の 鈴ヶの森の お七かな 井原西鶴原作 好色五人女より「お七」を俳句にしました。季語は風花で冬。鈴ヶ森(すずがもり)は江戸時代に存在した品川宿の南にあった刑場。

梅川の曼珠沙華

梅川の 血脈なりし 曼珠沙華 曼珠沙華 恋のしずくは 血のしずく 曼珠沙華 梅川吉三の 冥途かな 近松門左衛門原作「冥途の飛脚」梅川をモチーフに俳句にしました。 季語は曼珠沙華(まんじゅしゃげ)で秋。 梅川は遊女。 飛脚の吉三郎は恋する梅川を遊郭から…