純情きらり

桜子と達彦、愛の軌跡

「純情きらり」スペシャルを視た。 桜子と達彦の恋愛の軌跡を特集し、 名場面を振り返る、番組の構成になっていた。 達彦との初めての連弾と、くちづけ。 汽笛が鳴り、遠のく汽車を追いかける桜子(宮崎あおい)、 「音楽をわすれるな。」達彦(福士誠治)の…

漂白の魂 杉冬吾

うしろすがたのしぐれてゆくか 種田山頭火(たねださんとうか) 「純情きらり」の杉冬吾(西島秀俊)は、同じ男としてどこか羨ましい存在だった。 夢と現実の狭間で、冬吾の自由なる魂が、 どうしようもなく現実に流される自分にとって、少し眩しかったから…

純情きらり最終回

「純情きらり」は、見る側に、 人生を考えさせる、最近では稀有な番組であった。 かく書いている私も様々なことを考えさせられた。 家族愛、恋愛、音楽への愛、友情、師弟愛、感謝の気持ち。 最近のドラマにはない、桜子(宮崎あおい)の人生を通して、 何か…

桜子元気回復

赤ちゃんを産むことを諦めて、元気のない桜子。 食事を摂らない桜子(宮崎あおい) そんな桜子のもとへ、磯(室井滋)笛子(寺島しのぶ)杏子(井川遥) が見舞いにくる。 桜子は、自分自身を納得させるように、 「自分の体のためだもんね、しかたないよね。…

亨と桜子

亨が迷子になり、桜子(宮崎あおい)笛子(寺島しのぶ) 冬吾(西島秀俊)は、懸命に探す。 目の不自由な亨。 道端に落ちていた朝顔を桜子は見つけ、 亨が近くにいると、桜子は感じる。 階段に座り込んでいる亨を見つける。 桜子は、亨を抱きしめる。 亨を抱…

来週最終回のNHK「純情きらり」

朝日新聞の9月21日付け朝刊の文化欄で、「純情きらり」が 取り上げられていた。 魅力的な男性陣・輝く「普通の人生」という見出しだ。 9月18日放送の「純情きらり」は、24・2%と4月の放送開始 以後の最高視聴率を記録した。 人気の秘密は、詩人の…

男の友情

今日は、「純情きらり」の一週分を視た。 冬吾(西島秀俊)と達彦(福士誠治)の二人に男の友情を感じた。 「自分だけ幸せになっちゃいけない。」 と言う達彦に、 「言いわけだべ。」 と冬吾言う。 戦地から帰ってきた達彦を、兄弟のように、 優しく、厳しく…

もう一つの悲劇

「純情きらり」を視ていて、ふとTさんのことを思い出した。 Tさんは、父の知り合いで、酒好きな、 酔うと民謡を唄う陽気な男の人だった。 当時、50歳前後だったと思う。 ただ、田舎が新潟にありながら、 お盆や正月にも帰省せずに、東京にいらした。 正…

達彦の苦悩桜子の試練

達彦(福士誠治)は、桜子(宮崎あおい)のジャズピアノに、 拒否反応を起こす。 戦地で、悲惨な体験をした達彦。 生真面目で、即物的でなく、むしろ観念的な達彦は、 考え込んでしまい、閉ざされた心の出口が見つからない。 「なんで、あんなに明るい曲が弾…

達彦再会

桜子(宮崎あおい)のピアノの美しい音色が流れる。 カーキ色の青年らしき軍人。 そう達彦(福士誠治)だ。 喪服の桜子は、達彦の胸に飛び込む。 抱きあう桜子と達彦。 言葉でなく、互いに抱きあうことで、 互いの魂を抱きしめあい、確かめ合う二人。 冬吾(…

励ます女たち

「純情きらり」の女性たちは、よく男達を励ます。 杏子(井川遥)と鈴村(高橋和也)の婚儀の宴の席、 ヤスジ(相島一之)に召集令状が来る。 「冬吾、生き延びて絵を描け。」ヤスジは冬吾に絵を描くことを託す。 男同士、泣いて抱きあう二人。 冬吾は、一心…

それぞれの決断

杏子(井川遥)は母性が強い。 空襲の病院で、 戦争で父と母を亡くした女の子を抱きしめる。 大和撫子のような杏子。 古き良き日本婦人の面影がある。 笛子(寺島しのぶ)の姉妹三人で岡崎に帰る提案に、 杏子は「東京に残る、私を必要としている人がいるか…

冬吾と桜子

今週の「純情きらり」では、 桜子(宮崎あおい)と杉冬吾(西島秀俊)の 強い心の絆を感じた。 東京大空襲で、行方知れずになった冬吾。 冬吾は、瓦礫の下敷きになっていたところを、 桜子が見つける。 「冬吾さん私のために生きて」 桜子の、魂の叫びだ。 …

冬吾来たりて桜子目覚める

東京から冬吾(西島秀俊)が桜子(宮崎あおい)のもとに訪ねてくる。 桜子の心は乾ききっていた。 婚約者の達彦(福士誠治)が戦死し、義理の母のかね(戸田恵子)と ふたりの愛する人が亡くなる。 砂漠のような桜子の心。 冬吾は、いつものように、あっけら…

来ぬ春を待ちわびて

「達彦と連弾していた曲弾いてくれる。」 かね(戸田恵子)の願いを聞き、 達彦(福士誠治)と婚約した記念写真を前に、 山長の半纏を身につけ桜子(宮崎あおい)はピアノを弾く。 達彦は、幻となり、桜子の前に現れ、 優しく、そっとピアノに触れる。 そし…

『今週の純情きらり』

桜子(宮崎あおい)は、いつも音楽を忘れない。 そして、音楽に助けられている。 達彦(福士誠治)との約束、 「音楽を忘れるな」 その言葉を、大切にしている。 桜子にとって、音楽に関わることは、 達彦と何処かで繋がっているような気がするからだ。 ピア…

笛子の苦悩

今回の「純情きらり」は、笛子の妻として、母として、 そして、女としての苦悩をモチーフにして、展開していた。 冬吾(西島秀俊)が、働いている現場に乗り込んだ笛子(寺島しのぶ)の 怒りが爆発する。 「二人で、私のこと騙していたくせに」 冬吾の才能に…

希望は捨てません

冬吾(西島秀俊)は、自分を責める苗子(寺島しのぶ)を励ます。 「目がわるければ、兵隊に採られないで済む」 「親孝行な、めんこい子だ」 「めんこい」とは、なんと優しいお国訛りだろう。 津軽は寒い国だが、津軽弁は温かい。 桜子(宮崎あおい)は、希望…

無垢なる魂冬吾

桜子(宮崎あおい)から紹介された町工場で、冬吾(西島秀俊)は働き始めた。 慣れぬ肉体労働のため、冬吾は、眩暈で階段から落ちて、怪我をする。 冬吾の言葉で、 「自分は、赤ん坊みたいなものだ。今まで絵を描くこと以外知らなかった。 苗子(寺島しのぶ…

磯おばさんの秘密

言論統制の時代、冬吾(西島秀俊)たちの展覧会も当局の検閲を受ける。 冬吾の座右の銘は「美に殉じる」こと。 戦争画を描かねばならなくなったとき、仲間に、 「見たまま描けばいい」 と力強く励ました。 磯(室井滋)も、 我が子和之に、芋の煮っ転がしを…

冬吾(西島秀俊)をはじめとしたマロニエ荘の絵描き達は、 展覧会に向けて、絵を描くことに熱中していた。 しかし、軍国主義の日本では、絵描きは役立たずと思われていた。 桜子(宮崎あおい)と磯(室井滋)の手助けで、 苗子(寺島しのぶ)に赤ちゃんが生…

別れのコンチェルト

汽笛が鳴る。 汽車が動く。 桜子(宮崎あおい)の頬に達彦(福士誠治)が、 優しく触れる。 時が、一分一秒でも長ければと思う場面がある。 そんな恋人同士は、本来幸せなはずだ。 しかし、今日の桜子と達彦の別れは切なかった。 「有森頼みがあるんだ、桜子…

冬吾の魂

魂が漂白することがある。 心が神隠しになることがある。 深閑とした林をただ歩きたくなることがある。 檀一雄、永井荷風、織田作之助、 そうした無頼派の物書きに、親近感を持つ事がある。 高村光太郎の詩が好きだ。 「道程」と「智恵子抄」のアンビバレン…

桜子の嫁修行

桜子(宮崎あおい)は山長の使用人の前で、かねから達彦(福士誠治)の 嫁であることを、紹介される。 桜子は、要領を得られず戸惑うばかり。 かねのペースに乗せられ、おかみさん修行を強制させられる、桜子。 「根性なし」 とかね(戸田恵子)に言われ、 …

私には今しかない

桜子(宮崎あおい)と達彦(福士誠治)が、二人でピアノを弾くシーンは、 微笑ましく、切ない場面であった。 竹下景子のナレーションが、流れる。 「幸せな時間でした。そして悲しい時間でした」 達彦との幸せな時間、しかし、達彦は出征する。 二人にとって…

絆が試されるとき

笛子(寺島しのぶ)は生徒達に、 「自分の心だけは裏切らないでください」 その言葉を残して学校を去る。 苗子は冬吾(西島秀俊)に会いに東京に行こうとするが、 すでに、桜子(宮崎あおい)の計らいで、冬吾は近くの お社で、笛子を待っていた。 「学校や…

冬吾の魅力

「純情きらり」のヒロイン桜子(宮崎あおい)もかわいいが、 何故か私は、杉冬吾(西島秀俊)の飄々とした生き様に、 惹かれてしまう。 杉冬吾は、芸術家であり無頼派の男だ。 太宰治を、モデルにしているとも云われている。 女に優しく、女にもてるが、女に…